世界柔道 ワイルド女王復活!松本が5年ぶり2度目の金メダル/柔道
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世界選手権第3日(26日、アスタナ)ワイルド女王が復活! 女子57キロ級決勝で2012年ロンドン五輪金メダルの松本薫(27)=ベネシード=がコリーナ・カプリイオリウ(29)=ルーマニア=に優勢勝ちし、5年ぶり2度目の優勝。五輪以来3年ぶりに世界女王の座に返り咲いた。五輪後は故障などで苦しんだ末の完全復活。来年のリオデジャネイロ五輪で連覇を目指す。

日本が世界に誇る“野獣”が帰ってきた。さらなる強さを身につけて。ロンドン五輪決勝の再現となった決勝ではカプリイオリウから小外刈りで技ありを奪っての快勝。松本薫の柔道が、カザフスタンの地で炸裂(さくれつ)した。

 「やっとここに立てました。もう一度、とずっと思っていたので」

 表彰台の中央で心地良さそうに笑った。ロンドン五輪で日本中の視線をくぎ付けにした、あの獣のような目が戻ってきた。1回戦から相手をにらむ、にらむ。準々決勝、準決勝も一本は取れなくても、落ち着いていた。

 ロンドン五輪ただ一人の日本柔道金メダリストも、その後は悪戦苦闘の日々。五輪後は右肘の手術で半年以上も畳から遠ざかり、復帰後も今度は右肩、右太もも裏を痛める。14年を再出発の年と位置づけ、世界の頂点を目指したが、世界選手権は2回戦で開始24秒、まさかの一本負け。世界女王が苦しんで迎えた今大会だった。

 プレッシャーに押しつぶされそうになったことも。五輪金メダリストのみに着用を許される背中の金文字のゼッケン。「それが重みになってしまって」。追い詰められた女王は、開き直ろうと懸命にもがいた。その末にたどり着いたのが「ゼッケンは背中にある。私には見えない。目の前の相手だけを見ればいいんだ」という思考。過去との決別ができた瞬間だった。

 ロンドンと今を比べると…と問われると即答だった。

 「今の方が強いです」

 勝ってしまえば、リオへの通過点を普通にクリアした感じか。

 「はい、勝つのは当たり前なんで」

 頼もしい言葉だ。1年後。強さを取り戻した女王が、五輪連覇の偉業に挑む。